読書濾液の貯水箱

本を読んでいたことを忘れないために

「使える失敗学」を読む

(一部修正)
  0 本の情報
 タイトル:01図解 使える失敗学
 作  者:畑村洋太郎
 出版年月:2014年7月31日
 出版会社:KADOGAWA

 1 はじめに 失敗を活かせない失敗と、失敗をできてない失敗
 間違うこと、失うことが失敗だとして、本当の失敗はどこからだろうか。個人的には、「取り返しのつかないこと」が一つの目安だと思う。
 失った物が帰ってこない分水嶺を見極めて、それをどこまで
 「遠ざけ」
 「失う物を減らし」
 「これから得るものを増やせるか」
 ということについて、今回の本から学ぶことができたと思っている。

 2 本の概要
 (1)失敗から学ばない失敗
 当書では、「失敗から学ぶことで成長する」ということのために、失敗から学ぶためのテクニック提示している。
 最初は、失敗してしまったことに対しての姿勢が説明される。
 「失敗したときはエネルギーが奪われているから、これを回復するためには一度逃げてしまってもかまわない」
 「失敗したことには鈍感になって、周囲の批判に惑わされず、失敗の原因を冷静に見極める」
 「失敗への対処を日々意識しておき、一番最初の対応を間違えない」
 というように、失敗することに対してどのような姿勢を持つべきか、ということを例示している。
 ここまでは、比較的シンプルな戦略的視点である。

 (2)失敗を学ぶための技術
 そして、
 「実際にどのようにして失敗から学ぶか?」
 という戦術的な視点が重要になる。。
 「失敗の原因は組織と個人が重なり合っている」
 「組織の中で失敗の情報は伝達されにくい」
 「失敗の情報には当事者の一人称的な意識が不可欠である」
 というように、実際に起きた失敗をどのように分析していくのか、ということが事例をふまえて説明されている。

 (3)創造の中にある失敗
 そうして分析した事例を活かすのは、「創造」である。
 新しいことをはじめるという行為には、大量の「失敗」が否応なく含まれている。
 そうしたことをふまえて、創造という行為のために
 「仮想して考えられる失敗から目をそらさない」
 「失敗から学んだことによって思考の『獣道』を作る」
 「過去から学ぶことに謙虚であり『続ける』」
 ということを行い、可能な限りの失敗を防ぎ、適切な創造を重ねていくことができるのである。

 (4)失敗から創造へ
 「グローバル化している現代ではマニュアルだけでは足りない」
 「新しいことを吸収していく力は衰えていく」
 「過去の経験に固執して条件の変わった現代に対応できない」
 このような失敗に対応するためには、失敗に対して創造を重ねていかなくてはならない。 
 巨大な組織は、いつしかマニュアル化を重ねることで例外に対して対応仕切れず、縦割りの組織はいつしか全体的な視野を失って隙間に失敗を生み出す。
 これらを防いでいくためにも、常々の失敗を確かに分析し、常に取り入れることによってマニュアルを常に更新していくことや、組織のコミュニケーションを増加させて情報を交換しやすい環境を作り上げていくことが重要である。

 3 おわりに 創造と失敗
 何かから学んでいこうとするのであれば、何かを分析しなくてはいけない。
 それが失敗であるとき、人は失敗の特性に気づいていくという。
 失敗というのは、「経験知」という貴重な知識を伝えやすい一つの方法である。
 「成功例」ももちろん重要ではある。しかし、
 「新しいことに取り組む」
 のには、必ずしも「成功例」は役に立たない。しかし、「失敗例」については比較的役に立てやすいように思える。
 著者は、成功例の分析と、創造への繋げ方についても記載していて、何かを作っていきたい、挑戦していきたいという人にはぜひ読んでほしい本だ。

 失敗に対して、一番最初の対応を間違えてしまえば、修正には莫大なエネルギーが必要で、いつか引き返せないほどの失敗となってしまうと、車のリコール問題で説明がされていた。

 どこまで引き返せて、どこまでの代償が待っているのか、ただそれだけが怖い。